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数年前一巻だけを読んでストップしてものを、最近友人と飲み会で幕末・明治維新の話をしたのをきっかけでまた一巻からスタート。大学の授業が春休みなのをいいことにBook Offで買いこんできて「Daddy, let's play!」とせがむ息子・娘を無視して一気に読んでしまいました。
引きこまれる理由はやはり司馬遼太郎氏が歴史文献に基づいて作り上げる迫力と愛嬌を備えた竜馬という個性的かつ魅力的な人物像、そして繰り広げられる幕末の激動的な出来事のドラマです。本当の坂本竜馬がこのような人物だったかどうかもちろん分からないでしょうが、司馬氏が紹介する手紙や周辺の人物の日誌を参考にすると、ひょっとしたら本当にこうだったのかも?と信じそうになります。
歴史を動かした人物としての坂本竜馬を改めてすごい人物だなと感心します。しかし歴史的に正確かどうかということよりも、この話から何を得るか、だと思います。
竜馬の魅力は何と言っても権力者を恐れずに腐った制度を批判的に問う度胸、死ぬことを恐れずに事を成し遂げる使命感の強さと行動力、そして常識にとらわれない発想力でしょうか。刺激されます。自分にももっと必要な力だと思いますし、自分と共に学ぶ学生たちにも養ってほしい力です。
「世に生を得るは、事を成すにあり」
小説に出てくるこの竜馬の言葉は史実かどうかは別として好きな言葉です。自分の「成したい事」とはなんだろうか?と考え、小さくとも何か達成したい志を目指して進むことの大切さを改めて考えさせらる。
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余談だが、先学期の英語のテーマは生命倫理で、学生の論文には日本の自殺問題に関するものが多かった。その中でも日本人にとって「腹を切る」武士の伝統やそれについての一種の美意識が現代の日本人の自殺とどう関係しているか分析しているものがあって、竜馬がゆくを読みながらそれを思いだしていた。竜馬がゆくの中ではかなり多くの武士が切腹する。武市半平太のように処刑方法としてのものもあるが、自分から何かの責任をとって自殺するものもある。確かに自分の腹が切れるという事自体すごい自制力で、感心するが、選択肢がある場合には自分はいつも「責任をとって腹を切るより、責任をとって生きて何かを成せ!」と言いたくなっていた。
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